コーヒー、もう一杯

食品汚染…

 アメリカでは、ニューヨークの同時多発テロ以降、食品に対するテロ行為への対策に注目が集まった。日本では、平成25年12月アクリフーズ群馬工場の冷凍食品への農薬混入事件以降、フードディフェンス(食品防御)が注目を集めている。
 食の安全に関しては3つの切り口がある。フードセキュリティ(食品安全保障)は、食料の安定した供給の確保とそれに関する問題への対応。フードセーフティ(食品安全)は、自然に起こりうる、または意図せぬ食品汚染からの保護を目的とする。そして、新しい概念としてのフードディフェンス(食品防御)は、食品への意図的な異物混入や汚染に対する安全管理を目的としている。
 ひとたび食品汚染事件が発生すると、それが過失であろうと故意であろうと、消費者側からみれば食品事業者と消費者との信頼関係の崩壊につながる出来事となる。企業にとっては死活問題だ。
 一方、食品事業者側の食品汚染に対する取組み方はどうだろうか。
 同じ食品汚染でも、過失、ミスによる食品汚染と故意、意図的な食品汚染とでは取組み方、管理の仕方は異なる。過失、ミスによる食品汚染は、衛生管理、品質管理の分野だが、故意、意図的な食品汚染は、犯罪抑止の分野になるのだ。
 同じ食品汚染でも、経験や知識、取り組む分野がまったく違うということ。食品汚染のベースには衛生管理があるものの、犯罪抑止対策はその延長線上には無いということ。これがフードセーフティ(食品安全)とフードディフェンス(食品防御)の違いだ。
 フードディフェンス、つまり意図的な食品への異物混入は犯罪行為だという認識、その対策は犯罪抑止対策であるという認識からスタートすることが肝要だ。

(2014/11/01)


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